深圳(シンセン)、汕頭(スワトー)出張


 今回は、深圳で内衣(下着)の大規模な展示会があるので、見に来ないかという、中国の総経理からの誘いがあり、久し振りにその地を訪問した。実に2002年以来だ。中国の事情に疎い人もいるかもしれないので、紹介したいが、深圳は香港の北隣に位置し、改革開放政策後、何も無かった所が、今や中国のシリコンバレーと言われる先端の街に変貌している。携帯電話メーカーや最先端の電子機器メーカーが割拠し、中国の中でも最も発展のスピードが速い。2002年、最初の訪問の時は、香港にヘッドオフィスを置き、深圳の工場に機械を貸与し、建屋と人の確保は地元政府が行うという、独特の委託加工取引が最盛期だった頃だった。当社も中国進出候補先として日本向け工業団地を訪問した。しかし、今はその頃とは別世界、当社の様な繊維の会社は、とっくに淘汰されたと思う。

 さて、到着した翌日は、深圳から350kmほど離れた汕頭(スワトー)の会社を訪問した。新幹線で1時間半程掛る。そこには、群雄割拠の中国の下着市場でナンバーワンとなった会社がある。こちら側の訪問も計6名だったが、先方も総経理以下、5名のスタッフで、昼食を挟んで計5時間に及ぶ訪問だったが歓迎を受けた。同社は96年創業、売り上げは20億元(340億円)、営業とデザイン関係は深圳にある。こちらの方は創業の地で、1500名程が働いている。さらに江西省に6年前に作った工場があり、そちらは3000名の規模になっている。さらに、デザインではパリにも事務所を置いている。

 この会社だが、老板(ラオパン=親分、オーナー)は機械の保全、メンテナンス出身で、とにかく技術力に優れている。とにかくミシンのメンテナンスを徹底し、アタッチメントを装着し、ミシンオペレーターの手加減では無く、未熟練の人でも、一定の力でミシンを踏めば、出来上がり寸法も一定になるという方針で、とにかくミシンの整備に力を入れている。また、自動機などの新しい設備導入でも積極的だ。

 昨年、中国の子会社には何時までもイーゲート100%の受注に頼っていたのではダメで、少しは他社の注文を自分で取ってくるようにという方針を伝え、その後、タイミングが良かったのか、先方からも日系企業に仕事を出したいというニーズがあり、それから10ヶ月ほど関係が続いている。その様な方針は設立時から言っているが、これまで他の会社とは長続きしたためしがない。今回は生産に合わせ、先方より技術者と、品質管理の人間が常駐しチェックして貰っている。そのことで相互理解も進んでいるように思える。

 仕事を始めるに当たり、当社の技術責任者の中国人の副工場長が、今回訪問した工場を見学した。その折、工場を見て大変感激したということで、慣れないながら書いた長文の日本語のレポートを受け取っている。これまで、副工場長には常に現状に満足せず、新しいことに取り組むように言っているが、自社の生産性や品質が一番だと思っているのか、これまでのやり方を切り替えるのは難しかった。ところが、この会社の管理を見て、これまで「井の中の蛙」の所があった考え方が変わったと思う。

 今回も、先方の工場の総経理から、当社の弱点への指摘があったが、これまで、私自身も改善しなければと考えていたことなので、今後の改善や意識改革に繋がると思う。

 販売は全て自社の直営店、その為、展示会へ出る必要は無く、当面国内の仕事で手一杯で、輸出には全く興味が無いとのことである。96年創業当時はOEMからスタートしたが、今でも技術革新の為、工場では10%程度OEMの受注を入れているそうだ。

 総経理の話によると、当社は他よりもコストが高い為、加工賃を高く出していると言っているが、どこが気に入って貰えたのか、もう少しライン提供を増やしてほしいという要請を受けた。こちらの会社内情は、常駐者を派遣しており筒抜けになっている。しかし、こちらが工場見学した折も、先方も包み隠さず見せてくれた。この業界では考えられない。自動機や接着加工、モールド加工等参考になることが多い。これからも技術交流出来ればこんなに心強いことは無い。良好な関係が続くことを祈っている。

 余談だが、今回の展示会には、これまで地元でもあり、地元政府との関係から毎年出展していたが、あまり意味が無いので今年から取り止めたとのことである。社員の募集だが、ほとんどが地元で若い。約1000名が工場に併設された寮に住んでいる。地元の有名企業で人気があり、今のところ採用には困っていないとのことである。

 さらに、余談だが、この汕頭市の方言は、広東省に位置するが香港で聞く広東語とは違う。このあたりから昔、華僑が多く出て、シンガポールやタイでも、ここ出身の華僑が多く、言葉に困らないとのことだ。

 さて、本題の深圳の展示会の様子を伝えなければならないが、前置きが長くなった。この展示会だが、合計7つの建物を借りて開催されており、翌日の朝から見学したが4会場しか見る事が出来なかった。とにかく驚いたのは人の多さである。香港や上海で開催されるランジェリー展は、海外のバイヤーを多く見かけるが、西洋人やインド人、アフリカ人と思える人は少ない。ほとんどが中国人で内地向けの販売で出店しているが、本当に人が多かった。中国でこれだけ内衣(下着)で飯が食えるのかと思うと頼もしく感じた。

 出展している企業だが、当社が直接買い付けている大手のメーカーは少ない。ほとんどがフリーカットやモールドカップ、さらに成型技術を使った商品で、デザインはパリのランジェリー展の流行を取り入れている。幾つもの企業が、自社ブースで実際にモデルを使ってショーを行っていた。その他、通気性を改善したウレタンメーカーや、接着用の糊やシートを販売する企業、自動延反機やCAM、さらに、ストラップ加工を自動で行う機械、ブラのワイヤーを加工する機械、フックアイを作る機械等、多くの下着関連の機械を支える企業が出展していた。そのこともあり、展示会が盛況だったのかもしれない。

 この展示会の感想だが、改めて中国の企業の旺盛なバイタリティーを強く感じた。また、当社がこれから進めようと考える課題解決に繋がる資材や機械メーカーがあり、これらを取り入れながら、さらなる革新をおこなって行きたいと思った次第である。

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