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ニュースコロナウィルスの影響 そのⅠ(海外)
BLOG2020.5.29
コロナウィルスの影響 そのⅠ(海外)

表題のコロナウィルスの影響については、現在進行形でもあり、今後も不測の事態が起こるとも限らないため、最大関心事の話題だがコメントを控えていた。但し、39の県の非常事態が解除され、大阪、京都、兵庫に続き、首都圏でも解除されることになった。感染の第一波については先が見えつつあることもあり、第一回のコメントとして会社が受けた問題とその対応についてお伝えしたい。

まず感染の発生源となった中国だが、当社にも中国浙江省に生産拠点となる工場があり、そこが真っ先に影響を受けた。今年は暦の関係で旧正月が1月25日で、会社の方も20日より休みに入り、2月3日より再開の予定だった。その関係で、年末の催し「終奨式」(経営方針の発表、社員表彰、有志による演目、福引等)を1月19日行うため、私自身も16日から20日中国に出張した。19日時点での在籍の社員は356名で、45名程は田舎に先に帰っており、当日は311名の参加の式となった。過去ホテルで行ったり、プロに演出をお願いしたりしたこともあったが、昨年からは新設した製品倉庫を会場に手作りでの内容だが、午後12時から16時まで暖房の無い中で4時間、日本では信じられないと思うが、一切飲食は出さない。しかし、これまでの中では今年が大いに盛り、翌年に向けての社員の団結も確かめられる内容だった。ところが、20日日本に戻ったらコロナウィルスの騒ぎである。工場のある浙江省も武漢のある湖北省とは結びつきも深く、省都の杭州市や温州市でも感染者が発生、工場のある町でも封鎖の状態となり、正月休みどころの状況ではなくなった。工場の再開だが結局2週間遅れとなり、社員も約半数が省外人で戻れないこともあり、177名でのスタート。2月には日本からマスクや医療用の防護服を購入して送るということも行った。現在は288名迄に戻っているが、感染のリスクがあり新規の採用は控えており、70%以下の稼働だ。丸1ケ月分の稼働が少ないという状況でその分は減収になっている。しかし、3月に社会保険料などの政府からの戻しや、再開後の社員の危機意識による踏ん張りでの生産性の向上もあり、今後取り戻せないほどの損失には至っていない。3月には逆に日本が心配ということでマスクを送ってきた。現在の一番の問題は、人の行き来が出来ないことで、リモートでの会議やSNSウィチャットを利用して何とかカバーしている。日本人の工場長は1月20日に日本に戻ったままとなっているが、駐在を一名まで絞っても運営出来るようにしたことが、ここにきてダメージを最小限に抑えられる要因となっている。

次にカンボジアの方だが、3月以降自由な行き来が出来なくなっている。おまけに飛行機も減便で急ぎの荷物を輸送することが出来ない。カンボジアの医療体制や日常の生活ぶりから、集団感染の発生をとても心配している。各国が受け入れを認めなかったクルーズ船をシアヌークビル港に受け入れた時期から感染者も発生したが、その後海外からの帰国者に感染が見られる程度で、不思議だが感染は抑えられている。タイやベトナムとの国境も封鎖、4月のカンボジアの正月は国民の移動を制限し田舎の実家に帰さないために正月休み無しとなった。カンボジア全体の状況だが、国内の産業の大きなウエートを占める縫製産業はコロナの影響で欧米向け輸出がストップしてしまった。しかも、これまで低開発国として特恵関税適用国だったのが、非民主的政権国として適用を除外されてしまった。カンボジアでのメリットが無くなり、その結果撤退する企業が相次いでいる。廻りの工場が次々休止する中で、通常は週に4~5名は退社人員が発生するのが、退職者ゼロが続いている。肝心の受注がついてこないこともあり、稼働調整で残業は無しにして新規の採用も控えているが人員は減っていない。今の状況では定着率も安定、生産性向上に取り組めるチャンスだが、秋には現在の受注量では操業をさらに調整する心配が出てきている。現地には日本人の駐在が3名、中国人スタッフが6名常駐しており、また、現地でのスタッフやラインのリーダーともコミュニケーションが取れていない。しかし、生産の状況についてはコロナの影響で日本での納期も後ろ倒しとなって余裕が出来、特に差し迫った問題は無く助かっている。

今回はコロナの影響について、主に海外での状況を報告したが、中国、カンボジアとも感染者が出て、工場操業停止とか、ロックアウトの様な事態には幸いにして陥っていないこと、コロナ禍の中でのせめてもの幸運と思っている。