私が住んでいる福井県、福井市は日本海側にある。太平洋側は表日本、日本海側は裏日本と呼ばれてもいる。古の時代、奈良や京に都があり、大陸との交流が盛んに行われた頃は、日本側が窓口として栄えた時期もあった。江戸の時代になっても北前船の商船が盛んに行き来し、明治以降の戦前もロシアや中国との交流の玄関口となっていた。しかし、戦後は大陸との交流が途絶え、太平洋側の地域が戦後目覚ましい発展を遂げたのに比べ、何時しか裏日本と呼ばれネガティブなイメージが定着したように思える。
その様な中で、米国の西海岸、シリコンバレーのように、福井は日本の西海岸、
鯖江市、福井市がある福井平野は地形的にも似ていてポテンシャルがある地域「サイバーバレイ」だという人が現れた。ご本人の承諾を得ていないのでお名前は伏せるが、ご出身は日本ではなく生粋のアメリカ人だ。氏は3歳でMacintoshのコンピューターと出会い、高校を飛び級で卒業、17歳でベンチャー企業を設立。19歳で訪日を決意し、2010年に京都にベンチャー企業を設立、現在、その会社は西日本初のユニコーンにまで発展している。福井との出会いは不明だが、県内の鯖江市にも自宅を構えている。
福井商工会議所での議員懇談会や福井ライオンズ例会で30分程だが卓話のかたちでお話をお聞きした。しかし、短い内容だったので、何故福井が米国の西海岸、シリコンバレーようにポテンシャルがあるのかは十分理解できなかった。とても興味のあるお話だったので、改めて福井商工会議所の繊維部会、理財情報部会共催の講演会として90分の講演をお願いした。
講演の概要だが、福井が地理的に日本の西海岸、また、福井平野がシリコンバレーの地形的に似ているだけでなく、保守的でなく新規の物事に対して積極的に取り組もうとする気質のある土地柄だということが似ているとの事だった。
米国の東海岸が、既成のIBM等、既成の大企業が立ちはだかり新規の企業の芽が育ちにくいのに対して、スティーブ・ジョブスがガレージから起業したアップルが有名だが、既存概念に捉われない起業家が育ち、アップルだけでなく、マイクロソフト、アルファベット(Google)、Amazon、エヌビディア等が育っている。時代の変化に伴い革新的な企業は、政治の中心から離れたところから育つのかも知れない。
果たして、福井が日本の西海岸のようになるのかは分からない。しかし、日本の歴史でも都ではなく地方から革新的な事が起こったことは事実である。これからの日本にとって、現状を打破し、変革の動きは地方から誕生するようにも思える。福井に住む我々にとって、現状に甘えず、常に革新的にチャレンジすることの大切だと、改めて教えられた。その様な地域を応援する力強い味方を得たような気がした。
本年、福井県立大学に恐竜学部が誕生し、全国からユニークで有望な学生が集まった。恐竜と経済が結び付くわけだは無いが、発想の異なった人材を集めることは大切だと思っている。AIやChatGPTを活用しての研究を進める学部や新しいマーケッティング手法、SNSを活用した広告手法を学ぶ学部があっても良い。とにかく、全国、海外からも留学生を含めた若い人材を集めることは急務だと思う。
また、企業側も保守的にならず、常に新しいことにチャレンジするのと、ポテンシャルのある企業同士がそのシーズを融合させていき、ニュービジネスを創出する子も必要だ。
福井が将来シリコンバレーのように発展することは、今すぐには行かないかも知れないが、各社がそれぞれチャレンジして、動きを起こすことで、可能性が芽生えてくることを期待している。