NEWS
ニュース
ニュースラクビーに学ぶ組織論
BLOG2020.1.21
ラクビーに学ぶ組織論

昨年ラクビーのワールドカップが開催され、日本中が熱狂した。その後、日経ビジネスに、同社NY支局長の山川龍雄氏の表題の内容でのコラムが出ていた。2か月ほど経過してしまって話題として新鮮味はなく、内容も山川氏の受け売りだがお付き合いのほど宜しくお願いしたい。

ビジネスとスポーツには共通点があり、とりわけ今回のラクビーワールドカップは参考になる点が多かった。その第1は、「多様性」(ダイバーシティ)だ。今回の日本代表は31人のうち16人が外国籍、外国出身、もしくは帰化した選手だ。日本だけでなく各国とも、足りない人材を外国出身者で補強している。日本代表ということに違和感を持った人もいたと思うが、私自身は外国籍の選手が日本代表として頑張ってもらう姿にむしろ感動を覚えた。ビジネスでも海外の企業との競争で、日本人にこだわる自前主義では戦えない状況になっている。

当社も海外に二つの工場を持ち、福井の本社にも中国籍が2名、韓国籍が1名働いている。日本人の語学力には問題があり、もっと多様な外国籍の社員の採用を増やしたい。また、現地の工場とも人材の交流をしたいと思っているが、大卒並みという入管の規定があり上手く進んでいない。しかし、海外の工場の方には熟練した技術を持った社員がおり、今後の品質管理やサンプル作成等に日本で働いてもらいたいと考えている。

第2は「献身性」である。「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン(1人はみんなのために、みんなは1人のために)」有名なラクビー精神を表す言葉だ。ラクビーは身長や体重が不ぞろいの選手が、特徴を生かしたポジションにつく。一見、分業のスポーツのように思えるが、試合中は状況に応じて、複数のポジションをこなす。今回の試合で、普通は最初にフォワード戦でつぶれてしまう第一列のプロップの稲垣選手がトライしたことを覚えている人が多いと思う。彼が献身的にカバーした結果のトライだと思う。当社においても、各自がその業務を行うが、チームとしてカバーする力が問われていて、会社のワンチームとしての総合力が問われていると考えている。

第3は「自律性」。ラクビーでは試合中、ヘッドコーチ、監督は観客席で見守る。大学ラクビーの試合の中継で、ヘッドコーチが観客席にいるのを以前からテレビでも映ることがあって、サッカーの試合やアメフトの試合との違いを感じていた。試合中は主将を中心に選手たちが自律的に状況に応じて即断即決する。企業でも現場の対応力という言葉が言われているが、指示待ち族やイエスマンばかりでは、変化への対応に遅れを取ってしまうと感じている。

第4は「公平性(フェアネス)」。ラクビーでは試合中にタックルなど危険な行為を伴う競技で、危険行為に対しては審判が絶対的な権限を持って試合を進行する。野球やサッカーの試合中での乱闘という場面は見かけることが無い。試合が終わればノーサイドで、お互いが相手の健闘を称え合う。今回のワールドカップでにわか女性ファンが増えたのもその点にあると思っている。三菱商事に在籍した折にラクビーをかじった私だが、懇親会で相手チームの人と仲良くしている姿を見て不思議に思ったこともある。私の目からはラクビーをやる仲間としての連帯意識は強いのだと思った。今後の企業活動でもフェアネスは企業価値を高めることで重要なことと感じている。ルールを重視するコンプライアンスは、企業の永続的発展に不可欠なことと思っている。

余談だが、三菱商事時代にルールも良く理解していないままで、ラクビー同好会に引きずられて入った私だが、その影響もあり観戦するのにラクビーは一番好きなスポーツとなっている。大学ラクビーの試合については、年末年始のテレビの中継を必ず観戦していた。勝敗は野球やサッカーと違い、実力差が出て強い方が勝つ確率が高いと感じているが、大学の試合は毎年選手が入れ替わるため、どこの大学が今年は強いのだろうと、試合の結果に興味を持っていた。それに反し社会人のラクビーは、外国の選手ばかりと思い、これまであまり関心が無かった。今年始まったトップリーグだが、今回のことで覚えのある外国籍の選手も増えた。試合の結果も大事だが、試合の中で行われるそれぞれの選手のプレーに興味を持てるようになり、観戦の幅も広がったと思う。